カルマ<19>
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クラウドの潤んだ口唇から、一滴の雫が零れ落ちた。もう一滴、もう二滴が冷たい床を濡らしていく。今また溢れようとする三滴目をじゅるりと吸い上げ、クラウドは、代わりに荒い息を吐き散らした。
「はぁ、はぁ…はぁ…ッ」
背中に被さっていた重力がいくらか和らいで、苦しかった呼吸も、随分と楽になった。唾をごくりと飲み込むと、内蔵から嘔吐感がこみ上げてきて、躯にぞわぞわと震えが走る。ゆっくりと瞼を開いたクラウドの視界は、薄い涙で滲んでいた。
「く…ッ、ふ…ん……ッ」
躯を丸めたクラウドの背中を、漣のようなざわめきが駆け上がった。疲れきって、べっとりと床に腕を貼り付けたクラウドの背後では、つい先刻までクラウドを喘がせていたイミテーションが、苛烈な光を放っていた。
クラウドの尻朶を掴み、深く繋がりあったまま、イミテーションは激しく燃えて、瞬く間に昇華した。中にいたモノが霞のように消えてしまって、クラウドは奥歯を噛み締めながら、蕾をきゅうきゅうと窄ませた。
「はぁ、はぁ…ッ、な……!?」
クラウドが息を整える暇もなく、次の肉棒が宛てがわれる。力の入らない下肢の付け根を掴まれて、ぐい、と尻を抱き起こされて、怯んだクラウドの後庭を、硬い男根が散らしていく。
「待て、まだ…はぁっ、あ──ッ!」
絶頂の覚めやらない躯を穿たれて、クラウドは無防備な声を漏らした。パチパチと瞼の裏で光が弾け、一切の挙動が奪われた。
もう何度、この太さに掻き回され、掻き乱されたことだろう。そうしてこれから、あとどれだけ同じ太さを痛感すればよいのだろうか。
良く知る男の精巧な紛いものを食まされながら、クラウドは肘を崩し、祈るように床に額を擦りつけた。
「可哀想に、だいぶ息が上がっているようですね」
闇の世界は、広い部屋、狭い部屋、様々な部屋に通じていた。硬質な闇に囲まれた狭苦しい空間に、クラウドは、多数のイミテーションと共に投じられていた。
「我らを倒すと、そう聞こえたと思ったが…、どうやら聞き違いだったようだ」
制裁という名目で始まった暴行は、もはや、数に任せたリンチでしかない。それを、壁の向こう側から、魔女と皇帝の好奇の視線に観察されている。
あまりの屈辱に身を縮こめるクラウドの肉体を、無慈悲で非情なイミテーションが、容赦無く、余すところなく愛撫する。彼らは一言も喋らないし、その硬質な表情からは、感情さえも感じられない。それなのに、虚構の英雄の手管と質量は、クラウドが良く知るセフィロスのものに違いなかった。
「は…ッ、もう、ゃめろ……ッ」
もう十分、なぶられ犯されつくした躯を、これ以上蹂躙されては、頭がどうにかなってしまう。そう確信するが故の不安と焦燥に急き立てられて、クラウドは、無様で悲壮な声を上げた。
「痛快ですね、あなたの惨めなその姿」
壁の向こうで、アルティミシアがクラウドを見下して、くすくすと笑っていた。どこから悔やめばいいのかわからずに、けれど、堪え難い悔しさと苛立ちで、クラウドは眉間に疼く痛みを感じていた。
「こんな、こと……ッ、ふ……何が、楽しいんだ…ッ」
三人のカオスの戦士に戦いを挑み、体力を削がれたクラウドは、イミテーションの大群との対決を強いられた。裏切り者と認識されたクラウドには、イミテーションを制御する力はない。圧倒的な物量を前にして、クラウドが敗北を喫したのは当然のことだった。
「おかしなことを言う。楽しんでいるのは、貴様の方ではないか?」
消耗したクラウドを待ち受けていたのは、無数のイミテーションによる、無慈悲な陵辱だった。しかも、皇帝が、クラウドに差し向けたイミテーションは、なぜか皆、セフィロスの形をしていた。
惨く、非道な扱いを受けているのに、イミテーションに刻みこまれる屈辱を、クラウドの肉体は、懐かしさ、愛しさだと錯覚する。紛いものだとわかっているのに、体が、心が快楽に抗えない。
「イミテーション相手に何度も気をやって…。ふふ、無様だこと」
肉体を持たないイミテーションは、快楽を蓄積するほど発熱し、やがてその熱に耐えかねて、憐れにも滅んでしまう。しかしクラウドには、彼らを気の毒がる余裕などなかった。
彼らが消えた人数と、クラウドが超えた絶頂の数──。どちらが多いのか、クラウド自身が一番よくわかっていた。
「ぅぐ──ッ、ク……」
イミテーションに髪を掴まれ、クラウドは無理矢理引き起こされた。仰け反ったクラウドの後ろから、イミテーションは容赦のない律動を刻み付ける。
挿入が深くなり、押し拡げられた後孔が痛みに疼く。首を振るクラウドの苦し紛れの抵抗は、掌を踏みつけられて、ただの徒労に終わってしまった。
「は──ッ、く……ッ、んん……!!」
クラウドは、必死に口唇を噛み締めて、声を堪えようとしていた。声だけではない。堪えなければならないのは、屈辱、苦痛、押し寄せる快楽──。なにもかもが、クラウドを攻め立てていた。
壁の向こうの連中に、これ以上の醜態を晒したくはない。けれど、群がってくるイミテーションは、クラウドの抵抗を許さない。
頭を倒し、顎を突き出したクラウドの口唇を、イミテーションは楔で無理矢理こじ開けてきた。潤んだ口唇に割り入って、歯と歯の隙間をつつくようにして、口淫を強要する。
「舐めてあげたらどうですか? 早く、終わらせたいのでしょう?」
クラウドは、はっとした。薄く開いた目で眇んだ先で、アルティミシアの指が優雅に踊る。
「ぐずぐずしてると、『彼』が、壊れてしまうかもしれませんよ」
つい先刻までそこにいた道化師が、今誰と、どこにいるのか──。それを思ったクラウドの喉が、悔しさと焦りで苦くなった。
ここにはいない男の身を案じ、クラウドはのしかかってくるイミテーションを跳ね除けようと、大きく躯を揺さぶった。しかし、竦んだ肉襞を擦り上げられては、ひとたまりもない。
クラウドは背筋をしならせ、びくびくとのたうって、呼吸を漏らした隙をつかれ、硬い肉棒を喉奥まで迎え入れた。
「ぅぐ──ッ、ふ……んん……ッ!」
クラウドは眉を寄せ、苦しげな息とともに、またひとつ、汚い涎をとろりとこぼした。クラウドの焦燥を嗤うように、イミテーションはクラウドの髪を掴み、思う様腰を揺さぶってきた。
イミテーションに株を奪われ、暇を持て余したケフカは、クジャの元へと向かっていった。クジャは、クラウドと同様、この世界での戦いを無意味だと拒絶していた。彼の甘さを、奴らが見逃すはずはない。
クラウドには、ケフカを止める手段はなかった。狡い罠に嵌められて、卑劣な攻撃に体力を削がれ、その上、無数のイミテーションに蹂躙されては、クジャを探しに赴くケフカを、妨害することもできなかった。
どうせ思い出として胸にしまうなら、元いた世界の記憶だけで十分だ。しかし、そう言ったクジャを放っておけないだけの親しみは、仮初の絆の中にもしっかりと芽生えている。
同じ世界で、同じ立場で、他の連中とは違い、クジャだけが、クラウドと同じ苦しみを味わっていた。それを思うと、そんな彼を貶めようとする彼らの傲慢を、許すことはできない。
許せない、と、助けにいかなくては、と、そう思うことがおこがましいと感じるほど、クラウドは、惨めで愚かな自分の弱さを痛感していた。悲痛に喘ぐクラウドを、イミテーションは容赦なく責め立てて、甘美な悦楽を刻み付ける。
「ふぅ…ッ、う……ふぷ……ッ」
頬裏をこそぐるように、男根がクラウドの口腔を蹂躙した。舌は痺れ、顎が痛み、せめてこれ以上苦しまなくて済むように、クラウドは舌根を弾ませて喉を庇った。
抵抗も反抗も、できはしない。誰かを助けるとか、誰かを救うだけの力も資格も、ありはしない。
使命に背き、快楽に逃げていたツケがまわってきたのだろうか。諦め、挫けたくなるクラウドのプライドを、皇帝の冷えた揶揄が焚きつけてくる。
「貴様らを殺すも犯すも、全て私の思いのまま──。裏切り者には、当然の報いであろう?」
酷薄な笑みを乗せ、皇帝の怜悧な視線がクラウドの肢体に注がれていた。心が火照り、躯が茹だり、猛烈な苛立ちと怒りがこみ上げてくる。
「役たたずの虫ケラめ。せいぜい足掻け。苦しみ、悶え、惨めな嬌声を聴かせるがいい」
お断りだ、と、声に出したい反発を塞がれて、クラウドはくぐもった息を漏らした。溢れた涎を指先で拭い取り、後ろのイミテーションが容赦のない律動を刻みつけてくる。
秘肉を内側から熱く穿たれ、クラウドは再び、絶頂にのしあげられた。痺れた腕を背中に縫い止められ、喉を肉棒で塞がれて、二人のイミテーションに挟まれながら、クラウドは、通過していく絶頂に打ち震え、声も出せずに戦慄いた。
「ぁ……は……ッ、あぁ……」
苛烈に燃えるイミテーションに挟まれたまま、クラウドは、身動きすらもできなかった。姿勢を固めた二人のセフィロスに抱きしめられて、彼らが溶けていくのと同時に、どさりとその場に崩れ落ちる。
体勢を保てなくなった青年を別のイミテーションが組み敷いて、獣じみた情交が繰り返される。それを眇める皇帝の傍らで、アルティミシアが、ふふ、と、薄い笑みを漏らした。
「しかし、脆いものですね。一度爆ぜただけで、砕けてしまうとは」
目を細めたアルティミシアの呟きに、イミテーションへの憐憫は微塵もなかった。優雅に肢を組み、口隅を持ち上げた皇帝も同様だ。
「なに、代わりはいくらでもいる。それこそ、無限にな」
こうしている今も、次元の扉からは、次々にイミテーションが発生している。今もまた、新たに喚ばれた虚構の英雄が、闇の世界に足を踏み入れた。
「しかし、いい収穫が得られました。戦士の倒し方ではなく、壊し方」
仰向けに寝転がされたクラウドの腿を押さえ、セフィロスのイミテーションが拉ぐ後孔を突き上げる。背中をしならせた青年の手を取って、傍らにいた別のイミテーションが、猛った肉棒を掴ませる。
「絶えることなく犯し抜けば、いかなる戦士とて、長くはもたぬ。心も理性も壊れた時、私の支配を求めるようになるだろう」
陰惨な愛撫に悶え、淫らに喘ぐ青年を見物しながら、皇帝はくつくつと喉を鳴らした。カオスがその力でもって、ケフカがその術でもって成したことを、皇帝は、為政者の力でもって、成し遂げようと考えていた。
「コスモスの戦士とて同じこと。そして──」
「あるいは、コスモスも?」
アルティミシアが、核心をついた。彼女の視線に見守られながら、皇帝の口唇が、優美で淫靡な曲線を描いた。
皇帝はもう何度も、コスモス軍の敗北と、新たに始まる戦争の連鎖を経験した。絶対的な支配力を発揮できないで、誰かの駒として永遠に踊り続けなければならないなど、この上ない雪辱であり、退屈だ。
だから彼は、『コスモス軍の敗北』の向こうにある、世界の行末を思案していた。イミテーションが蔓延り、戦う相手はもはやいない。混沌に満ちた世界を支配するために、なにが必要なのか──。
「秩序であった駒も、我が手に堕ちれば、思わぬ働きを見せるかもしれん。王が統べる民草が、紛い物だけでは愉快ではない」
コスモスの力は、ただ失くすには惜しい力だ。虎視眈々と世界の覇権を狙う皇帝にしてみれば、神であるカオスと対抗し得る唯一の戦力を、みすみす消滅させるわけにはいかない。
「あなたに、できるのかしらね」
アルティミシアのこぼした微笑に、皇帝は柳眉を寄せた。彼女の語調からは、賛同ではなく、若干の蔑みが感じられたからだ。
「試してみるか、その身をもって」
すい、と、視線を横に流し、皇帝は隣に佇むアルティミシアを仰いだ。静かで、見え透いた挑発だった。そんなこけおどしに乗せられるほど愚かではないと、互いが知った上での、ただの言葉遊びだ。
「どんな計略も、所詮はひとときの幻に過ぎないのですよ。いずれ誰もが、思い知る時が来る」
この先を見据え、謀略を紡ぐ皇帝と同様に、アルティミシアもまた、独自の目的を見据えていた。時間の圧縮──。それを、皇帝に伝えるにはまだ早い。
「ほう。ならば、お前は今、何を望むのだ?」
何気ない風を装って、皇帝は尋ねた。実体のない玉座に座る男を見下ろし、アルティミシアは、ゆっくりと闇の世界へ視線を逸らした。
「今も、未来も、やがて過去になる。過去に絶望しかないと知った時、未来が希望であふれているなど、誰が信じられるでしょうか?」
今まさに、皇帝の策略にかかって痴態を晒す青年は、過去と未来に縛られている。狭い壁に囲まれて、無数のイミテーションに躯と心をほじくられている。
彼をそこまで狂わせているものがなんであるのか──、これまでのクラウドの言動を見ていれば、わからない方が愚かというもの。今また、二人のイミテーションの昇華を見送って、呆然としているクラウドの視線を集めようと、アルティミシアの指先が、大きな弧を描いた。
「あの娘──ティファ、と言いましたか。彼女は、どんな声で啼いてくれるでしょうね」
アルティミシアの指先に、不穏な光が集まった。空中から集まってきた紫色の粒が、焦点を失くしたクラウドの目を誘い、一つに重なった彼の視点が、アルティミシアに呼び寄せられた一人の男の姿を捉えた。
クラウドは、重い瞼を瞬かせた。新たに喚ばれたイミテーションは、身の丈ほどの大剣を携えて、虚ろな雰囲気を醸し出している。
「なに……を……?」
見たことのある顔だった。馴染みのある風体だ。それが誰かを確かめようと、床にへばりついていた顔を起こしたクラウドを、セフィロスのイミテーションが抱き起こす。
浅い記憶を手繰り寄せ、アルティミシアの言った言葉を繋ぎあわせて、クラウドは、ようやく意味を理解する。上気していたクラウドの顔が、一気に蒼白になっていった。
「やめろ…ッ、彼女は、関係ない…!」
立てない脚の代わりに壁を使って、ようやく躯を支えるクラウドの後ろから、イミテーションがクラウドを抱きしめてくる。膝の裏に手を回し、絡みついてくるイミテーションを押しのけようと、クラウドは身を捩り、腕を突っ張り背中を押し上げようとした。
「離せ…ッ、は……ぁあ──ッ!」
クラウドの窄んだ秘肉に、逞しい男根がみちみちと押し入ってきた。爪先立ち、壁を叩いて、快楽を散らす小細工すらできない。クラウドはただ、ばかのように開いた口から、無防備な嬌声を漏らすだけだ。
「男のモノを銜えて悦んでいるくせに、よくもそんな口が叩けたものだ」
闇を固めた壁越しに、呆れたように、皇帝が呟いた。その隣で、召喚を終えたアルティミシアが、呼んだばかりのイミテーションの顎先を捉える。
「ダメだ、そいつは…あぅ──ッ、くぅ…!!」
イミテーションがクラウドの腰を抱きかかえ、容赦のない振動を刻みつける。後ろからの責めに耐えかねて、のけぞり震えたクラウドの頬に、横から顔を出した虚構の英雄が、ねっとりと舌を押し付けてくる。
既に何度も吐精して、痛みすら発していたペニスを掴まれて、なけなしの精液を絞り上げられる。壁にしなだれかかり、崩れ落ちそうになりながら、吐き散らすクラウドの熱い息が、硬い闇を曇らせた。
「辱めるだけなら、相手は誰だって構わない。陥落と屈服を強要するには、『思い出』の力が必要なのですよ」
クラウドの眼と鼻の先で、アルティミシアの指先が虚構の兵士を弄ぶ。それを阻止してやりたいのに、冷たい壁がクラウドの足掻きを拒む。
彼女が、ティファがもし、自分がされているものと同じ責め苦を味わわされたら──。そう考えただけで身の毛がよだち、噛みあわせた歯がガチガチと歪な音を響かせる。
躯は醜く粟立って、それを宥めすかすイミテーションの手つき、腰つきに、快楽が蓄積していく。
「現実は優しくない。あなたはそこで、泣いて悔やむといいわ」
アルティミシアの微笑う口唇が、クラウドのイミテーションにキスをする。そうして踵を返し、兵士を伴って歩き始めるアルティミシアの、遠のく背中へ伸ばす手は届かない。
「待て、やめ…ァあっ、はぁ、ゃめろ……!!」
彼女には手を出すな、守らなくては、今度こそ──。なのに何故、この躯は思い通りに動かないのか。
歯痒さと、苛立ちとに打ち拉がれるクラウドを、心無きイミテーションが休むことなく責め立てる。
赤く腫れた耳を舐り、剥がされた服の内側に手を這わせ、熟れた乳首を捏ねくり回し、アヌスに剛直を捩じ込んでくる。
「やめて、くれ……はぁ、ああ──!!」
陰嚢を揉み込み、ペニスを扱かれ、痛いほどの快楽に耐えかねた鈴口から、薄い精液が滴った。後ろを散らかしていたイミテーションが勝手に爆ぜて、チリチリと焼け焦げ、形を失っていく。
支えるものがなくなって、クラウドは膝を崩し、あえなく床に倒れこんだ。それを抱きとめたイミテーションが、クラウドの濡れた股間を舐め上げる。
「…妙な男だ。それだけ喘ぎ散らしておいて、まだあの娘が気になるか」
もはや、不埒な姿を隠しおおせるわけもなく、クラウドは、だらしのない格好を皇帝の前に晒していた。意識も思考も朦朧となっていて、善悪の判断も、優先事項の選別もできやしない。
「お前たちに絡みつく、執着の糸──。それが、奴を貶める餌になる」
イミテーションはクラウドを抱きかかえ、指と指の間を舐めるように撫で擦る。出し続けて萎びたペニスを吸い上げて、太腿に、足裏に、キスを繋げていく。
「意思を捨てれば、迷いが消えよう? 私の贄となるがいい」
人の情ほど、無意味で、無価値で、利用しやすいものはない。帝国を統べた男の理念は揺るがず、皇帝は、自らの思想と流儀に、絶対の自信を抱いていた。
クラウドを辱めることを、きっとセフィロスは、快く思わないだろう。クラウドがカオスを裏切ったのと同様に、セフィロスもまた、運命に違背することになる。
そうなった時、皇帝は大手を振って、セフィロスと戦えるはずだった。彼を支配し、彼を利用することで、自分の目的を達成できるはずだと考えていた。
立て続けの絶頂で、クラウドの思考は、完全に混迷していた。なおも続く暴行はクラウドの心を剥がし、躯から分離したそれは、闇の中を移ろい、ふらふらと漂い始めていた。