江戸時代パロディ(黒烏編)<02>

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「なんでアンタがこんなとこに……」
「そういうお前はどうしてここにいる?」
「それは……」
「……そういう格好が趣味なのか」
「違う!これはティファを助けるために仕方なく…」
「どういうわけだ」
かくかくしかじかを説明するクラウド。
黙って聞いてるセフィロス。
「……わかった。そういうことなら協力しよう」
「本当に!?」
「俺の仕事の邪魔をされてはかなわんからな」
「仕事……?」
笑ってごまかすセフィロス。
捕まっていろと言ってセフィロスはクラウドを抱き上げる。
そしてそのまま天井裏へ。

豪華な着物着てるから天井裏とか動きづらい。
でも仕方ないからゴソゴソ移動。
喘ぎ声とかアンアン聞こえてくるけどセフィロス全く気にしない。
クラウドが顔ぽっぽさせ始めた頃、ある部屋の上で二人は立ち止まる。

天井板を外すと、店主コルネオのお部屋でした。
コルネオと誰かよくわかんない男の声がする。
ほひーほひーとかガハハハハとか言いながら悪巧みしている会話を盗み聞き。

蜜蜂の館では人攫いみたいな方法で女の子を色んなところから連れてきてるらしい。
そんで安い金でいっぱい働かせてたんまり儲けたお金でコルネオは武器とかいっぱい買い込んでるらしい。
集めた武器で目指せ倒幕☆とか言ってるけどマジかコイツら。
しかも集めてきた女の子で可愛い子は食べちゃうぞほひーほひーとか、なんて悪い奴らなんだ!
ティファが危ない、早くティファを探さなきゃ!と慌てるクラウドを待て待てと諌めるセフィロス。

「この先がコルネオの私室になっている、お前は幼馴染とやらを助けにいけ」
「わかった。アンタは…?」
「俺は別の場所に用事がある」

セフィロスはそう言ってニヤリと笑ったように見える。
こいつやっぱ例の泥棒なのかな、と思いながら、着物引き摺って別行動するクラウド。
一旦別れて、別の部屋でシュンとしながら蹲ってるティファ発見してクラウドが天井裏から俺参上!!

「クラウド!?」
「その格好はどうしたの!?ここでなにしてるの!?」
「あ、それより あれからどうしてたの!?身体はだいじょうぶ!?」
「そんなにいっぺんに質問するな」
「この格好は…… ここに入るためには仕方なかった」
「身体はだいじょうぶだ。店が面倒見てくれる」
そんな感じで幼馴染の再会。
田舎からわけもわからずつれてこられて、黒髪のおなごほひーほひーとか言ってるコルネオにいただかれそうになって困ってたティファを連れて逃げようでもどうやって?と考えてるところに、独自に部屋を探し当てたザックス登場。
これまでのことを報告したりして、とりあえず時間もアレだし三人で逃げようとするんだけど目立っちゃうしどうしよう、とあーだこーだ相談してると、ザックスがいきなりそうだいいこと考えた!
「俺が時間を稼ぐから、お前らは先に行け」
「でも…」
「大丈夫、心配ないって。早く行かないと見つかっちゃうぞ」
動き難いから呉服を脱いで天井裏通って逃げてくクラウドとティファを見送って、ザックス一人でフッとため息。
脱ぎ捨てられた呉服を片付けたり天井板を直したりしてるところに、コルネオの足音が近づいてきた。

ふかふかのベッドに寝転がるコルネオ。
照明は落としてあって黒髪のおなごと二人きり。
「ほひ~、やっと2人きり……さあコネコちゃん…… 俺のムネへカモ~?ン!」
「ほひ~!テレなくてもだいじょうぶ。2人きりだよ……」
「ほひ~、何度見てもカワイイの~。お……お前も、俺のこと好きか?」
「もちろんですわ」
「ほひ、うれしいこと言ってくれるのォ!ほんなら、ナ、ナニがしたい?」
「あなたのス・キ・な・コ・ト」
「ほひほひ~!! た、たまらん!じゃあ、おねがい……チューして、チュー!!」
「それはダメ……」
「なんで? なんでなんで?」
「だって……アタクシ、男なんですもの!」
ばばーんっと着物脱いでザックス登場。
どこからともなく聞こえてくるファンファーレ。
「貴様~、騙したな!」
顔面蒼白なコルネオに得意げにザックスお説教。
「へへーん、これまでのは時間稼ぎさ! 色んなところから女の子を集めて働かせてぼろもうけするなんてふてぇ野郎だ! これに懲りて悪巧みはしないでおくんだな! これにて一件らくちゃ…」
「待った」
天井裏から颯爽とセフィロス登場。
フフンと格好つけるセフィロスを前にして、お前も曲者かと騒ぐコルネオ。
ザックスはえ、だれだれ、なにこいつ状態。
あれ、この顔、どっかで見たこと……。

周りの部屋から、「曲者だー!」とか「キャー!」とか「ドロボー!」とか声が聞こえてくる。
コイツが黒烏か、ここで見つけたが百年目!と、ザックスはコルネオほっぽってセフィロスとっつかまえようとする。
「どこに隠している」
「は?」
「ほひ?」
セフィロスがコルネオを厳しく追及。
「幕府への謀反を企んで、荒稼ぎした金で武器を買い込んでいるだろう。武器はどこに隠してある?」
「ほ、ほ、ほひ~、なんのことだか…」
「とぼけるな」
セフィロス、冷静に冷徹に言い放つ。
なになに、こいつ幕府を倒そうとか思ってる悪い奴だったのか!?と急展開についていけないザックス。
「言え。言わないと、切り刻むぞ」
ジャキンと正宗を鳴らしながらベッドに足をかけるセフィロス。
「言え。言わないと、切り落とすぞ」
町奉行所の与力という立場上、幕府の敵を放ってはおけない。
場の空気にのせられてザックスも問いただす。
「ほひ?~、兄ちゃんたち本気だな。えらいえらい。武器はここには置いてない。ミッドガルのある店に預けてあるんだ」
「その店の名は?」
「その前に聞いてくれ」
「なんだ」
「俺みたいな悪党がこうやってべらべらとホントのことをしゃべるのはどんな時だと思う?」
いつもの三択。
迷わず「勝利を確信しているとき」を選ぶザックス。
「ほひ~! あったりー!」
地下のペットの棲家に突き落とされるザックスとセフィロス。
アプス登場。二人で仲良くアプスとバトル。
下水津波に飲み込まれながらなんとか倒すと、もうセフィロスの姿は無い。
「あいつ、どこに行ったんだ…!?」
蜜蜂の館は、例の泥棒が出たととんでもない大騒ぎ。
混乱に乗じて逃げる女たちを店員が追っかけまわすけど、客もてんやわんやでもうわけがわからない。
結局、コルネオもセフィロスも見つからなかった。
地下から這い上がったザックスは下水まみれだし、犯人に間違われるし、散々な一日だった。

ティファを連れてなんとか逃げてきたクラウド。
ティファはエアリスに匿ってもらって、二人は一緒にお花屋さんをすることに。
ザックスも合流したけど、着物は下水まみれ泥まみれ。
店の服をダメにしちゃったのでビクビクしながらクラウド帰宅。

次の日、ミッドガルでは蜜蜂の館を黒烏が襲撃のニュースで大騒ぎ。
お金はがっぽり盗まれて、店主のコルネオは行方不明。
ニュースを見ながら、やっぱあの人が黒烏なのかなぁ、ザックスも会ったって言ってたしなぁと色々考えるクラウド。
何故か着物がダメになったことはバレなかった。ラッキー。

ティファとエアリスの様子を見に行く。
二人は案外仲良くしてる様子。
ザックスも任務中に寄り道してて、三人でお茶タイム。
黒烏のせいできょうも大忙しだって文句垂れながら、ザックスがセフィロスのことをティファに聞いてみるけど、ティファはそんな人知らないって言ってる。
クラウドは見なかったか、と聞かれて、思わず会ってないと嘘をつく。

次に襲われるのはどの店だってミッドガル中疑心暗鬼になってて、クラウドの店も同様で、クラウドは寝ずの晩を命じられる。
店の金庫の前で布団にくるまってうとうとしてるクラウド。
ハッと気づいて、これじゃだめだって思ってとりあえず外の空気でも吸って眠気を醒まそうと立ち上がる。
店の裏の蔵のほうへ歩いていくと、そこに誰かの人影発見。

「誰だ!?」

問いただすクラウドの行灯が、セフィロスの姿を映し出す。

「アンタ、なんでこんなところに…!?」
おめめぱちくりなクラウド。
この前のお礼を言わなきゃとか色々考えるんだけど、どんぴしゃにとりあえず聞いてみることにした。
「アンタが噂の、黒烏なのか?」
「どうしてそう思う?」
質問してるのはこっちなのに逆に聞き返されてしどろもどろ。
そんなクラウドを見て笑うセフィロスさん。
「お前がこの店の人間だったとはな」
意味ありげなセフィロスさんを警戒しながらクラウド更に追及。
あの店(蜜蜂の館)でなにをしてたんだとか、ここでなにしてるんだとか、あの後ザックスが犯人に間違われて大変だったんだぞとか色々いうんだけど、のらりくらりとかわすセフィロスさん。
とにかく、ここにいられたら困るんだ、帰ってくれ、というクラウド。
その時後ろに人影が。
「誰だ!?あやしいやつめ!!どろぼー!どろぼー!」
途端に大騒ぎに。セフィロスいつの間にか逃げる。
お店のお金が盗まれてて、クラウドが泥棒を手引きして引き入れたんだろうってことになって、泥棒の仲間だー!捕まえろー!っつって誤解されて逮捕されることに。