江戸時代パロディ(黒烏編)<03>
クラウドが逮捕されたと聞いて目の色変えるザックス。
まさか、クラウドが泥棒なわけないだろ、なにかの間違いだ!俺が聞いてみる!
やめとけ、お前まで疑われるぞってカンセルが心配するんだけど振り切って牢屋に駆け込む。
再会するザックスとクラウド。
クラウド、お前どうしたんだ?って聞くんだけど最初は黙りこくってクラウドなんも言わない。
アイツのこと庇ってんのか、ほんとにお前泥棒だったのか?って聞くと、違う!とか叫んでポツポツと喋りだすクラウド。
クラウドは、セフィロスが本当に泥棒なのか、ちゃんと自分の眼で確かめたいって思ってる。
それを察して、クラウドの無実を晴らすため、ザックスとクラウドが脱獄。
大騒ぎになるんだけど、「真犯人見つければ大丈夫だろ。お前のこと信じてるよ」ってザックス笑顔。
深夜になるまでクラウドとザックスはエアリスんちに隠れてる。
ティファはクラウドを心配するんだけど、俺がついてるんだから大丈夫だってザックスが太鼓判を押す。
とりあえず、状況を調べないとなってハイデッカーのお店に向かう。
最後にセフィロスに会った蔵へ向かう内、二人の耳に変な笑い声が聞こえてくる。
「ほひーほひー」
「ガハハハハ」
逃げたはずのコルネオと店主のハイデッカーがうるさい声で密談してる。
一度黒烏に襲われたってなれば幕府も被害者扱いしてくれるだろうとか、
騙されやがって幕府もバカな奴だとか、
色んなお店を襲ってたお金を稼いでたこととか、
稼いだ金は討幕の軍資金にしてたこととか。
呉服屋なんて仮の姿、ホントは武器商人なんだぞガハハ、
黒烏なんて嘘だよ~ん、犯人はここにいるよ~ほひーほひー、
犯人はクラウドってことにしたからもう安心だ、これからも悪事し放題だって乾杯してる。
ダシにされたことがわかって悔しくて飛び出そうとするクラウド。
まあ待て落ち着けってクラウド取り押さえるザックス。
俺たちが聞いたことを皆に言って疑いを晴らそう。
仲間を連れてきてこいつらをとっちめよう。
そう言ってクラウドを連れてザックスが立ち上がろうとした時、
「誰だ!?」
「曲者、であえであえ!」
急な騒ぎが起きて慌てるクラウドとザックス。
まさか俺たちのことがバレたのか!?と辺りを見回すと、
「バレちまったらしょうがないぞ、と」
「……………」
全身黒ずくめの二人の男登場。
一人は赤毛の目立つ奴で、一人はサングラスの大男。
なんだなんだ? お前らどっから出てきたんだ?
見知らぬ男に驚くクラウドとザックス。
呼ばれてきた討幕派の悪者達に囲まれて、クラウドとザックスまで取り囲まれてしまう。
「話は全部聞いてたぞ! 俺たちを騙しやがって!」
「俺を、利用してたんだな」
ザックスとクラウドもやる気十分。
「ようやく尻尾を掴んだぞ、ちんけな悪党め、と」
「……………」
「おい、なんか言ってやれよ」
「………覚悟しろ」
突然現れた二人組みも超乗り気。
「ものどもー! やってしまえー!」
全員総出でチャンチャンバラバラ開始。
でも4vs多数じゃ結果は目に見えている。
苦戦を強いられて危ない、クラウド!ってときに、わーーーって声を上げながら奉行所の皆さんご登場。
「なんだなんだ!?」
「ほひーほひー、どうなってるんだ!?」
ハイデッカーとコルネオはビックリしてオロオロしてる。
驚いたザックスとクラウドは、先陣を切るお奉行様の姿を見つけて更に目を丸くする。
「アンタ…」
「なんでお前が!?」
長い銀髪を束ねて不思議な色の目をした黒袴のお奉行様が十手を握って命令する。
「奴らが犯人だ。ひっ捕らえろ!」
わーーって声を上げて奉行所の皆様大盛り上がり。
驚いてキョロキョロするザックスに、カンセルが「ザックス、助けにきたぞ」
楽しそうにばっさばっさと悪党を倒していくセフィロスにクラウド仰天。
多くの悪者をやっつけて、チャンバラ終了。
ガハハもエロオヤジもとっ捕まってしまったのでした。
セフィロスはお奉行様でした。
普段は奉行所の奥で裁判ぽいことをしたりしていますが、堅苦しい生活が趣味にあわず、奉行所を抜け出しては街を散策して悪者退治をしていました。
今回の出来事を一通り報告するセフィロス。
報告を聞き終えて、ニヤニヤしている将軍ルーファウス。
「下品な小悪党を泳がせていた甲斐があったな。反神羅勢力を根こそぎ退治できた。よくやった」
もちろん、将軍様の隣には側近の黒服(ツォンとイリーナ)もいるわけで。
しれっとした顔をしてるルーファウスに、セフィロスが辛辣に言い放つ。
「お前のところの隠密を見かけた」
「さて、なんのことだ?」
「わかっていたなら、なぜ最初から知らせなかった?」
二人がチリチリと目でバトル。
将軍に向かってなんという口のきき方ですか、って騒ぐイリーナも、セフィロスに睨まれて息をのむ。
「十分な証拠が集まるまで、手出しはできまい」
「十分な金が集まるまで、稼がせてやったというわけか」
「人聞きの悪い」
ガハハとエロオヤジの集めた金も武器も、当然幕府が没収。
思わぬ(計画通りの)収入でひっ迫していた幕府の財源もちょっと潤ってルーファウスご満悦。
「そんなことより、例の子供、奉行所で預かることにしたらしいな」
クラウドのことを言われて顔を上げるセフィロス。
「どういう風の吹きまわしだ? お前にお稚児趣味があったとはな」
「あいつが、奉行所で働きたがっていただけだ。問題あるまい」
「一度は容疑者だった者を、そう易々と幕府に入れるわけにはいかない」
押し通したいセフィロスに、ツォンが水を差す。
ジリ、と睨んでみるけれど、ポーカーフェイスでさらりと受け流されてしまう。
「まあいい。今回の働きに免じて、素性の良し悪しには目をつむろう」
ご機嫌なルーファウスが扇子を振る。
一応会釈程度に頭を下げて、無言で立ち上がるセフィロスに、将軍様が一言。
「ミッドガルを頼んだぞ、英雄セフィロス」
振りかえりざまに、セフィロスが一言。
「お前が大人しくしていれば、少しは楽になるんだがな」
袴の裾持ってセフィロス退場。
ぷりぷり怒るイリーナとため息漏らすツォンの間で、ルーファウスは楽しそうに笑っていましたとさ。
エアリスがやっていたミッドガルの片隅のお花屋さんは、お花屋さん兼喫茶店に変わりました。
ティファがお茶とお団子をだして、エアリスがお花も売っています。
軒先でお団子食べてるクラウドとザックス。
クラウドはこの度めでたく奉行所の岡っ引きになり、ソルジャー=与力目指して頑張ることになりました。
「まさかセフィロスがお奉行様だったなんてなー」
ザックスがお団子食いながら笑ってる。
「俺はまだしも、なんでザックスが知らなかったんだよ」
「普段あんまり関わらないからさ。俺、デスクワークよりフットワークの方が好きなんだ」
「『フットワーク』の使い方間違ってない?」
「そのお奉行様、『チームワーク』は得意じゃなさそうね」
おはしょりスタイルのクラウドがお団子もぐもぐしてる後ろで、エアリスとティファがくすくす笑ってる。
確かに、セフィロスは気が向いた時しか裁判しないし、普段はどこにいるのかわからない。
同じ町奉行のアンジールやジェネシスとは仲が良いらしいけど、ザックスたち部下の管理監督はアンジールにまかせっきりだ。
「まあ、よかったじゃない。濡れ衣も晴れたし、クラウドも晴れて神羅の仲間入りだ」
「まだ、見習いみたいなもんだよ」
悪い気はしないけど、ティファの手前素直に喜べないクラウド。
「クラウドなら、すぐに偉くなるわよ。私を助けにきてくれたとき、ヒーローみたいだったもの」
ティファにそう言われて、クラウドはちょっとはにかむように笑みをこぼした。
「ドロボー! そこの娘を捕まえてくれー!」
向こうの方で男のでかい声がする。
人波から飛び出したのはやんちゃ娘のユフィ。
お仕事スイッチが入って、お団子串放り出して立ち上がるザックスとクラウド。
「おっと、仕事だ。いくぜ、クラウド!」
「ごめん、お金は後で払うよ」
ティファとエアリスにそう言って、二人は駆けだした。
ゴミを投げ捨てるザックスにティファが文句言うけど、ザックスは聞いちゃいない。
忍者娘をおっかけながら、ザックスとクラウド楽しそう。
ミッドガルの平和を守るため、二人は今日も頑張るのでした。
この後も色んなトラブルが発生するわけだけど、それはまた別のお話。
おあとがよろしいようで。
ちゃんちゃん。