- 773件の検索結果。全78ページ中60ページ目を表示しています。
スキッフに揺られるクラウドは、その床に腰を落とし、低く俯いていた。 あれから数時間後に、ようやく辿り着いた帰還用の軍用機に乗り込む者たちの表情は暗かった。その中で唯一、ザックスだけが、来たときと同じ笑みを振りまいていた。 モデオヘイム村の宿場で、駆けつけたザックスに気づいて身を起こすクラウドは、当初立ち上がることさえできなかった。アンジールによって叩き込まれたダメージは相当なもので、上...
施設を転がるように逃げ出していくホランダーを追い、クラウドは我武者羅に走った。錆びた鉄の匂いのする施設を飛び出すと、道を惑うホランダーが立ち止まり、辺りを見回す後姿が眼に入る。 「待てッ!!」 精一杯の強さで叫ぶクラウドに気づき、彼は後ろを振り返った。ひげ面の口許に刻まれた、ニヤリ、とした不快な笑みを視止め、クラウドは苛立ちが煽られるのを感じた。 一発の銃声が、捕らえてやろうと脚を踏...
冷たい風の吹き荒ぶモデオヘイム渓谷は、見渡す限り、白銀の世界が広がっている。寂れた偏狭の村の出身であったクラウドは、舞い散る雪や積雪を経験したことはあっても、ここまでの銀世界に立つのは初めてのことだった。 軍に所属するようになってから、任務のために様々な土地に借り出されるようになった。そこでクラウドが痛感したのは、自分の卑小さだ。 世界はあまりにも広大で、それに対し、自分はあまりにも卑...
スキッフは、轟音を立てて厳かに空を裂いていく。雲よりも少し低い位置を進むその飛行体は、神羅カンパニー所有の特殊な航空手段で、重い鉄の体を大きなプロペラで浮遊させ、自在に回遊することができる。その中にはミーティングルームと休憩室が隣接していて、その他武器庫や弾薬庫も併設されており、小規模の作戦移動には都合がいい。クラウドがそれに乗ったことは、まだ指を数えるほどしかなかった。 「いい加減にしたら...