誰か烏の心を知らんや

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 ザックスとセフィロスが消えて、一ヶ月が経った。カンセルは延期していた定期検診のため、神羅カンパニー本社ビル六十八階、科学部門フロアにある宝条のラボを訪れていた。
 ソルジャーの定期検診は、通常六十三階にあるメディカルフロアで行われる。一般社員のためにも解放されているトレーニング機材は、ソルジャーたちの基礎体力を測るには十分だ。
 しかしそこでは、魔晄耐性などの特殊なステータスは計測できない。一般的でない検査メニューに対応するため、カンセルは科学部門のサンプルポッドに身を投じ、宝条はコントロールルームからカンセルに照射する魔晄量の増幅を部下に指示した。
「魔晄照射実験開始。照射魔晄濃度、安全制限を解除します」
 緊張気味の研究員の声が、ポッドの中のスピーカーからカンセルの耳にも届いた。カンセルはいつも通り目を閉じて、姿勢と気持ちを楽にしていた。
「数値、読み上げます。照射魔晄濃度、基準値二倍、五倍、十倍……」
 強化ガラスで造られたポッドの中に、実験用に加工された魔晄エネルギーが注がれ始めた。それはじわじわと、しんしんとカンセルの上に降り積もり、積み重なり、やがてポッドを埋め尽くしてカンセルを包みこんだ。
「五十……百……博士、まだ続けますか?」
 尋常でない数値を目にして、研究員が臆病風に吹かれ始める。けれど宝条は薄ら笑みを浮かべながら動じることなく食い入るようにポッドを見つめていて、中にいるカンセルもまた焦ってはいなかった。
 ポッドを満たす温かい光はカンセルを穏やかでたおやかな境地へと連れていく。常人ならばおよそ耐えられない濃度の魔晄の中にいて、カンセルは春の風の心地良さを感じていた。
「二百……三百……」
 カンセルの感覚では、足元で風に揺れた草の葉が擦れ、花の香りを運ぶ風が爽やかな音を奏でていた。夢心地というのはこういうことなのだろう。このまま身を任せていれば眠ってしまえそうだ。そんなことを考えながらカンセルはポッドの中をたゆたっていて、宝条は口隅を笑みで歪めて部下に続きを促した。
「五百……七百五十……、魔晄濃度、基準値一千倍を突破しました……!」
 研究員たちの言葉はカンセルの耳に届いていたが、カンセルは段々とそれが遠のくのを感じ始めた。肌に感じる風の音が強くなり、ガラスの向こうの世界の音が薄らぎ掻き消されていく。
 カンセルを取り巻いていた、花の香り、清々しい風──けれどそんな幻想も、雲行きが怪しくなってきた。空は曇り、風は渦巻き、光がにわかに陰り始める。
 カンセルが皮膚の表面に寒気を感じ始めた頃、唸り声のような地響きがカンセルへと近づいてきた。
「魔晄濃度、千五百……二千倍、前回記録突破まで、残り一分です」
 外の世界の声は、カンセルにとって既に嵐の向こうへ逃げていく鳥のさえずりに他ならなかった。うねる空気に体が粟立ち、雷鳴のような轟きが視覚と聴覚を削り取る。
 逃げ出したいと感じるのは、なにもカンセルが弱いからではないはずだ。通常なら、普通の人間はもちろん、魔晄を浴びたソルジャーでさえこんな濃度の魔晄の中では正気を保っていられない。
 カンセルは、もはや少なくなってしまった神羅の精鋭【ソルジャー】たちの中でも、クラス1stを優に上回るずば抜けた魔晄耐性を有していた。ソルジャー試験で照射された魔晄──一般人が浴びれば魔晄中毒を発症しかねないほどのものでも、カンセルにとってはただのそよ風でしかなかった。
 そんなカンセルは、特殊体質保持者として定期的に科学部門の魔晄エネルギー耐久実験に協力してきた。そうして魔晄に浸される度経験してきた不思議な変化が、今回もカンセルの身の上に起こり始めようとしていた。
「…Ve…………………as………me…………as……」
 カンセルの耳元を、嵐のような突風が吹き抜けていった。その轟音の隙間から、掠れた声のようなものが聞こえてきた。
 きっとそれは、誰かの歌声。愚かなことだとは思う。どうして、何故とは思ったけれど、カンセルは確かに数千倍もの魔晄の中で誰かの歌う声を聞いた。
「……ni…ve………………ne…………fa…………」
 これまでカンセルは、何度もその歌を聞いてきた。魔晄に漬けられる度に聞いたその歌は、あまりに遠くあまりにか細い声だったから、はたして本当に歌声なのか最初は確信が持てなかった。
 けれど何度もこの実験をこなすうちに、カンセルの耳は少しずつその歌を聞き取れるようになってきていた。声の主は、多分女性。男性かも知れないけれど、きっと女性だろうと思った。
「…Ve……………veni……ne…………fa…as……」
 彼女がなんと歌っているのか、カンセルにはわからなかった。彼女の言語、歌詞、意味はカンセルにとって不可解だった。
 だから尚更知りたかった。こんなところで──荒涼とした、住む人もいない、およそ常軌を逸した世界で彼女が自分に一体何を訴えているのかを。
 カンセルは耳を澄ませた。針のむしろとはこのことを言うのかもしれない。強すぎる魔晄に蝕まれ、体が千切れそうなほどの痛みが皮膚を強張らせる。しっかり踏ん張っていないと膝がガクガク震えそうだ。
 それでも、久しぶりに聞いた彼女の声に耳を塞ぎたくはなかった。目を閉じ、恐れと不安と痛みとを必死に嚙み締めながら、神経を研ぎ澄ませていたカンセルの耳許に驚くような言葉が届いた。
「…Sephiroth…」
 その瞬間、カンセルは思わず口を開いた。すると、ゴボッと泡が溢れて一気に息苦しくなった。
 カンセルは口を押さえようとしたが、体が悴みすぐには身動きできなかった。魔晄の中で苦しさに身悶えるカンセルを見て、研究員がバタついて慌ただしく動き始めた。
「実験中止! 救命措置に切り替えます!」
 ラボの中にビービーと警報音が響き渡った。宝条がつまらなそうに眉を顰める一方で、一人の研究員が必死に装置を操って、他方の研究員が医療スタッフを先導してポッドに向かう。
 カンセルは薄れゆく意識の中で歌声から遠ざかるのを感じていた。雑音に掻き消されて、彼女の存在がわからなくなる。
 それでも今日、カンセルは確かに彼女に近づいた。セフィロス──一ヶ月前に死んだカンセルの元上司。人々に【英雄】と呼ばれた男の姿が昏睡するカンセルの脳裏に浮かんで消えていった。


   ■   ■   ■


 宝条は、今回の実験結果に不満そうだった。カンセルの耐久した魔晄濃度の数値は記録を突破したが、宝条が欲しがっていたのは濃密な魔晄から生還したカンセルのレポートだった。
「それで今回、彼女はなんと言っていたかね?」
 レンズの分厚い眼鏡を直して、宝条はカンセルに尋ねた。宝条の傍にはノートボードを持った研究員が立っていて、椅子に腰掛け採血されるカンセルを注意深く観察していた。
「いえ……やはり、なにを言っているのかはよく聞き取れませんでした」
 ポッドから救出されたカンセルは、未だ意識が晴れやかでなかった。用意された椅子に腰掛け、重い頭を支えるように額に手をつき、カンセルはゆっくりと首を振った。
「ふうむ、新たな収穫は無し、か」
 カンセルは傍らのテーブルに脱いだマスクを置いていた。三つのアンプルにカンセルの血液を採取すると、用事を終えた研究員がカンセルから離れていった。
 実験の失敗が確定的になり、宝条は落胆し嘆息した。カンセルは宝条をちらりと見やり、喉を密かに上下させた。
 魔晄の底で聞く女の歌声──彼女の口から【セフィロス】の名を聞くとは思わなかった。あれは空耳だったのだろうか。いや、カンセルは確かに聞いた。一ヶ月前、親友である同期のソルジャー、ザックスとともに殉職の報じられた、【英雄】の名を。
 カンセルはこれまで、科学部門に努めて協力的だった。それはカンセル自身、自分の特異な体質について解明したかったからが大きい。
 しかし今日、カンセルは初めて宝条に秘密を作った。そのことに宝条はまだ気づいていない様子だった。
 このまま実験を繰り返せば、またあの女に会えるだろうか。その時彼女は英雄の名前以外に何を教えてくれるだろうか。
 例えば、英雄と彼女の関係、英雄の生死、居場所、状況……そしてもしかしたら、セフィロスと共に死んだと報じられた親友の情報も──。
「さて、では最後に、いつものやつを見せてもらおう」
 宝条の声にハッとして、カンセルは顔を上げた。はい、と短く応えると、カンセルは軽く咳払いをして、顎を浮かせて宝条をまっすぐ見上げた。
「どれどれ」
 宝条は眼鏡のつるを指で、くい、と持ち上げると、腰を曲げてカンセルを覗きこんだ。
 二人の男は、鼻先が擦れ合いそうなほどの至近距離に接近した。カンセルは息を呑んだが、宝条とは決して視線を逸らさなかった。
 宝条は、白衣の胸に挿していたペンの尻のライトを点した。二人が顔を突き合わせているのは、なにも特別な感情や趣味があるからではない。宝条はカンセルの瞳にライトの灯を向けて、カンセルの眼球、瞳孔の運動を確かめ始めた。
 魔晄を浴びたソルジャーには、皆一様に瞳に変色が発生する。色の濃淡は様々だが、元々どんな瞳の持ち主であっても、大抵の眼が空に近い青色に変化していた。
 しかしカンセルの体質は、ここでも特異な性質を発揮していた。ソルジャーになって以降、実験を経てどのような魔晄を何度浴びてきたとしても、カンセルの瞳にはなんらの変色も見受けられず、生まれつきの漆黒を保ち続けていた。
「ふん。今回も変化は無し、か」
 ペンライトの光をしまい、宝条は再び嘆息した。それを聞いたカンセルは少し残念に思って、踵を返した宝条の後ろで細いため息を洩らした。
「実験は終了だ。また来月、よろしく頼むよ」
 宝条の興味は、既にカンセル本人ではなく実験結果の数値へと移っていた。部下の研究員が用意していたモニタに向かってそう言うと、忙しそうにあれやこれやと難しい指示を飛ばし始める。
「失礼します」
 カンセルは控えめな声で呟いた。そうしてマスクを目深に被ると、カンセルは椅子からスッと立ち上がった。
 宝条も研究員も、出て行くカンセルにもはや見向きもしなかった。実験が終わってしまえば、彼らにとってカンセルはただのエキストラでしかなく、彼らは立ち去るカンセルを見送ろうともしなかった。
 それでいいのだ、と、カンセルは思う。元々カンセルは人から注目されたいタイプの人間ではない。むしろ目立ちたくないから、と、騒ぎを避けて生きてきた。
 魔晄に強かったからといって、日常生活でなんらかのメリットがあるわけではない。ソルジャーなんて職に就かなければ、そんな体質に気づくこともなかっただろう。
 青くない瞳をマスクに隠せば、カンセルは他のソルジャーと見分けがつかない。カンセルが特異で異質で異端であっても、誰もそれに気づかない。
 だからカンセルは、誰に引け目を感じることなく悠々と歩いていた。そもそもカンセルはソルジャーとして人並みの功績を挙げてきていたし、目が青くないからといって劣等感を感じる必要はないはずだった。
 カンセルの秘密を知っても、周りの人間──例えばザックスは、それがどうしたと一笑に付し、カンセルを差別しなかった。ただそれは、彼が人懐こく篤い男であったからだ。
 全ての人間がそうはいかない。例えば、今カンセルが乗り込もうとしたエレベーターに偶然居合わせた後輩ソルジャーは、そうではない側の人間だった。
「あれ?」
「よう」
 久々に会う後輩に、カンセルは気さくに挨拶をした。ルクシーレはこくりと頷き、パネルの前へと一歩近づきカンセルに場所を譲った。
 エレベーターは、四十九階ソルジャーフロアに停まる予定であるようだった。扉が閉まって、密室に二人きりになる。カンセルは相手のことを嫌ってはいなかったけれど、二人きりになるとどうにも空気の濁るのを感じてはいた。
「いつ戻ってきたんですか?」
 ルクシーレが尋ねた。空気の淀みを感じていたのは、多分カンセルだけではなかった。
「昨日。お前は?」
「ついさっきです」
 ルクシーレは、カンセルが科学部門のフロアにいた理由を尋ねようとはしなかった。なんでもない世間話をこなす内、エレベーターは目的のフロアに着いた。
 補給物資を受け取ろうと、カンセルはブリーフィングルームに向かった。偶然にもルクシーレも同じ方向に向かっていた。
 カンセルの半歩後ろをルクシーレは歩いていた。それは不快ではなかったけれど、カンセルは依然、まるで魔晄に浸けられていた時のように右半身がぞわぞわするのを感じていた。
「これから統括に報告に行くところなんです」
 ルクシーレが口を開いて、二人の間の違和感にヒビを入れた。会話はぎこちなかったけれど、沈黙よりはマシだ。それにカンセルは、その場の空気を読むことや平静を装うこと、不自然のない会話をこなすことが不得手ではなかった。
「今回のミッションに成功したので、次回の査定でクラス2ndに上がれそうです」
 ルクシーレの声、言葉には確固たる自信が感じられた。後輩の有能さはカンセルもよく知っている。それに、ソルジャー部門は人材不足に憂えて久しい。ルクシーレの言うように、いつ彼にクラス2ndへの昇格通知が送られてもおかしくはなかった。
「それはよかったな」
「これでようやく同じクラスですね」
 カンセルの言葉に嫌味はなかった。皮肉をこめたつもりはなかった。それでも、相手の言葉からそれを感じたということは、無意識の苦手意識が働いてしまったからだろうか。
「そうだな」
 マスクの下で笑みを作ると、カンセルは目的地の前で立ち止まりルクシーレの方を向いた。
 統括へ報告に行くということは、ルクシーレは統括執務室へ向かうのだろう。ならばここで道は別れる。新たに統括を兼任することになったハイデッカーが執務室にいるのかは知らないが、二人の散歩はこれにて終了だ。
「それじゃ、統括によろしくな」
「カンセルさん」
 笑顔で送り出そうとしたカンセルを、ルクシーレが呼び止めた。
 カンセルは、自分のコミュニケーション能力に一定の自信を持っていた。親しくはならないまでも、誰とも敵対しないようにしてきたつもりではあるが、それは相手がカンセルに悪し感情を持っていなかった場合に限る。
「俺は、クラス1stになりますよ」
 カンセルをまっすぐ見つめて、ルクシーレは言った。マスク越しであっても相手の強い視線はカンセルに深く突き刺さって、カンセルは思わず息を呑み、相手への反応も少し遅れた。
「そうか。頑張れよ」
「それだけですか?」
 カンセルが今日、普段と違ってルクシーレに対し後手の対応しかできなかったのは、多分に科学部門の実験の影響があっただろう。ソルジャーとしてのミッションではなく、不可解で不可思議な体験で精神と肉体を疲弊したから、本領を発揮することができなかったのだ。
「俺は、あなたみたいにはならない」
 多分──いや、確実に、ルクシーレはカンセルを侮蔑していた。そのことは以前から承知していたし、相手の性格を考えれば当然のことだとも思った。
 ルクシーレは、出世に強い意欲がある。男としてそれは当然のことのようにも思う。
 しかもここは、神羅カンパニーでも選ばれた者のみが集うソルジャー部門だ。最強になること、英雄と呼ばれること──様々な志を持った若者が集う場所だ。
「そうか。頑張れよ」
 カンセルは、嫌味も皮肉も諦めもなく、自然な笑みを浮かべて言った。事実、今カンセルの胸中には、相手の出世と成功を願い、その身を案じる気持ちしかなかった。
 カンセルは、クラス1stへの道を諦めた。諦めたと言うよりも、今の立場、境遇に満足してしまったのだ。
 カンセルの類稀な魔晄耐性は、クラス1stをも凌ぐほどだ。けれどそれは、ソルジャーならではの魔晄による肉体能力の強化が十分に得られないということでもある。
 それでもカンセルは、他のソルジャーに負けない功績を挙げてきた。それはカンセルの元々の能力が高かったからだったし、他と比べて少なくではあるが魔晄の恩恵のお蔭もあった。
 そしてなにより、カンセルが他のソルジャーと違い、情報戦術を強化したからであった。だからこそ、カンセルはクラス1stには向かないのだ。ルクシーレに軽蔑されようと、ザックスに惜しまれようと、これがカンセルのやり方で、そのことにカンセルは納得し誇りにしていた。
「失礼します」
 ルクシーレはぺこりと軽く頭を下げて、足早にソルジャー部門統括室へと向かっていった。その背中を見送りながら、カンセルは、ふう、と軽く息をついた。
 ふとカンセルは、珍しいことを考えた。もしかしたらルクシーレは、カンセルを激励しようとしていたのかもしれない。
 相変わらず、ザックスへの尻尾の振り方に比べれば不遜な対応ではあるけれど、ルクシーレの態度は決して行儀の悪いものではなかった。ザックスがいなくなり、ソルジャーが減ってしまったこともあって、彼は彼なりにカンセルに『もっと頑張れ』と伝えたかったのではなかったろうか。
 だとしてもカンセルは、自分の生き方を変えるつもりはなかった。ルクシーレが執務室への廊下を渡っていくように、カンセルは選んで自分の道を行く。
 願わくば、皆の行く末が幸福であって欲しい──とは言え、剣を取り人の命を奪う職にありながら戯けたことだとも自覚している。
 ならばせめて、未来が平和であって欲しい。なに不自由なく、争いも不安もない平和な世界であって欲しい。
「まったく……」
 カンセルは自分の口許に浮かぶ笑みに気づきながら、マスクを深く被り直してルクシーレのいなくなった廊下を見渡し、呟いた。
「早く、帰ってこいよ」
 カンセルの独白は多分誰にも届かなかった。魔晄の深部で聞こえてくる歌声よりも不毛なものだ。
 けれどカンセルは、その言葉がきっと届くと信じていた。楽観的であるとは思うが、カンセルは自分の勘を疑っていなかった。
 ザックスは生きている。そしてセフィロスも、多分きっと──。
 彼らの不在を自分は、世界はそう簡単には許せない。彼らを待ち侘びる者がいる限り、きっと戻ってくるはずだ。
 当面は、科学部門の実験が彼らへ繋がる糸口になるだろう。自分がこの生き方を変えない限り、彼らへの情報は誰よりも先に手に入れられるだろうと思った。
 自分がソルジャーである限り、自分が神羅に身を置く限り、自分が自分である限り。たとえ落ちこぼれだとしても、マトモなソルジャーでなかったとしても、そんな自分をカンセルは誰より一番信用していた。

【 END 】