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- 2012/03/16
■書店取扱開始。 新刊の とらのあなさん での委託販売が始まりました。 少し割高ですが是非ご利用ください~。
■のんびり移行中。 ちまちまと旧サイトからコンテンツ移行中です。 文章の中身までは変えてないですが段組とかスタイルとかはちょこちょこ変えててます。 全部に目を通してる余裕がないので、マクロ組んで自動でパパッとやってるんですが、変になってるとこがあるかもしれない……。 落ち着い...
ツォンは、ため息を漏らした。 握りしめた指先には、絵の具の粘つきが残っている。刺激的な異臭が鼻孔を掠め、色が弾けた空気が、乾いた眼にツンと沁みる。 けれど、彼の眉をいつも以上に渋めていたのは、違和感でも不快感でもなかった。彼は、かっちりと襟を締めたシャツの内側に煩雑でシンプルな想いを閉じこめていて、それがチリリと燃える痛みに、表情を顰ませていた。 「どうしたの?」 通りかかったシ...
噴水広場のすぐ近くの、雑居ビル。小汚ない居酒屋の奥の席に、賑わう若者たちの姿があった。 6人掛けの席に陣取った彼らのテーブルには、皿やジョッキが所狭しと散らかっている。冷たくなったピザの最後の一枚を平らげて、ザックスは満足そうに腹を撫でた。 「ぁ~、食った食った。もー腹いっぱい」 空になった食器を下げようと短いエプロンを巻いた従業員が近づいてきたが、皿の上には湿った唐揚げが転がってい...
その日は、慌ただしい一日だった。 バカンスを十分楽しむこともできぬまま、ザックスはジュノンに呼び戻された。ジュノンは、神羅の誇る堅固な要塞だ。海へと突き出した巨大なキャノンが強い威圧を与えているが、内部をよく知る者の侵略によって、街は甚大な被害を被っていた。 神羅の兵器を操って、ジェネシスコピーが暴れている。ジュノンに更迭されていたホランダーは、この混乱に乗じて逃げ出した。 あの後...
青く澄みきった快晴。燦々と降り注ぐ陽光を受けて海は煌めき、絶好のバカンス日和だった。 砂浜に寝そべったザックスを、パラソルの影が飲み込んで、陽射しを防いでくれている。ビーチチェアのサイドテーブルには炭酸の利いた飲み物が用意され、普段はなにかとやかましい携帯電話も大人しく鳴りを潜めていた。 忙しいソルジャーへの対応としては、申し分ないようにも思える。しかし、せっかくのバカンスを、ザックス...
ザックスが帰宅したのは、まだ陽も高い昼下りだった。いつもならば午後の訓練メニューをこなしている時間帯だ。 そんな時間に帰宅するのは久しぶりで、ザックスはまず武器を外し、靴を脱ぎ、リビングのソファに腰を下ろして、脚を奔放に投げ出した。 候補生たちはカンセルに連れられて、ソルジャー試験のためにジュノンへと向かっていった。指揮官であったザックスは任務を解かれ、規則正しい勤労から解放された。 ...
床を揺らす震動に気づき、クラウドは目を醒ました。リズムよく唸る音の正体がなんなのか、彼は十数コール目で気がついた。 ザックスからの着信だ。暗い室内にぼうっと光る液晶を確かめて、掠れた声を誤魔化すために唾を飲み込み、少年は疲れた指で、モバイルを拾いあげた。 残業が延びて遅くなってしまったことを、ザックスは詫びた。訓練施設に横たわっていた少年は、今が何時で、ここがどこなのか、なぜ自分がそこ...
カンセルが状況を理解するのは早かった。 元々彼は、細やかな情報にも精通していたが故に、その真偽を判断する術に長けていたし、神羅カンパニーに身を置き、中でもソルジャーなどという特殊な職 務に就いているがために、人知を越えた状況に遭遇することも多々あった。だからこそ、彼が正しく事実を把握することは容易かったし、彼が嘘をついていない のだと、信じることができた。 「クラウド・ストライフ、か…」...